剖検の結果

クリスマスが終わり、街は一気にお正月モードですね。

カシスが旅立ってからちょうど1ヶ月。
剖検の結果が返って来ました。
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病理の先生による剖検結果を
カシスを担当して下さった臨床の先生が
実際のカシスの症状を照らし合わせながら説明して下さいました。
(このレポートのほかに病理切片の染色画像などが多数)

ポイントとしては以下の4点。
1、エンドトキシン血症、敗血症
2、心内膜炎
3、肺水腫
4、肥大型心筋症
5、脳・延髄・頚髄の神経細胞の壊死

まず、心臓は肥大型心筋症が示唆されるとの事でしたが、
それほど重度ではなく、無症状の場合も多いとされる状態でした。
また、血管の梗塞などは認められなかったこと、
末端の血流障害も無かった事から心筋症は不調の直接原因とは考え難いとの事でした。

では、何が起きていたのか?
好中球の浸潤を伴う肺水腫と心内膜炎が認められた事から細菌感染が示唆されました。
さらに、肺のスワブ(表層拭き取り)の細菌培養により、
Klebsiella pneumoniae(肺炎桿菌)とEnterococcus faeciumが検出されたそうです。
この2つの菌は一般的な消化管内の常在細菌です。
消化管内で悪さをする事は殆どありませんが、
ほかの臓器などには、日和見感染を起こします。
この菌から(厳密に言うと菌の死骸から)放出されるエンドトキシンは
炎症や血管傷害、微小血管塞栓症を引き起こすことが分かっています。
恐らく、肺水腫や心内膜炎は、この菌の日和見感染の影響であるとのこと。
そして、恐らくエンドトキシン血症および敗血症を発症していたと考えられるそうです。
敗血症では播種性血管内凝固症候群(DIC)や多臓器不全などから死に至ります。

また、DICや多臓器不全の影響により、
脳・延髄・頚髄の神経細胞の壊死が引き起こされ
四肢麻痺の引き金になったと考えられるそうです。
神経細胞の壊死が散財的だった為、
完全麻痺ではなく部分麻痺だったのだと思われます。

異常な低体温、急激な症状の発症・進行…
四肢麻痺…
敗血症が原因だったとの事で、物凄く納得がいきました。

子猫の時から少し免疫力が弱かったので、
シニアの年齢になった事で、更に弱っていたのかも知れません。

脚が動かなくなり、32度の低体温で病院に行った時には…
本当はもう、どうにもならない程の状態だったのだろうと思います。
それでも10日間頑張って…私の為に時間をくれて、
最後は沢山の猫たちの為に、多くのデータを残してくれました。

写真は、剖検から帰ってきた時のカシスです…
なので、ご不快に感じた方は申し訳ありません。
ただ、剖検に対するイメージを払拭する為にもあえて、掲載させていただきます。

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こんなに美しい状態で戻って来ます。
フワフワの毛並みも、ふくふくしたお腹もそのままです。
実際には、上記の報告の通り、
脳も肺も心臓も腸も…全ての臓器が調べられています。

正直、想像以上に綺麗な状態で帰ってきました。

一見、何もしていないようにしか見えず、驚いてしまいました。

よく見ると、あちこちらかなり開いた痕跡はあるのですが、

本当によくよく見ないと全く分かりません。

現在の剖検技術の凄さに驚くばかりです。

単に検査をするというだけではなく、
患畜に対する敬意や労り、優しさが現れていると思います。

カシスは病理解剖専門の機関で
コスメティック手法という技法で剖検して頂きましたが
最近では、大学病院の剖検でも綺麗な状態で帰ってくるそうです。

担当の先生が、剖検を承諾して貰ったのは初めだと仰っていました。
家族の突然の旅立ちに、飼い主の心情として承諾しづらいと思います。
ただ、本当に多くの事が解明されますし、それが沢山の猫達の命を救う事につながります。

私自身も非常に納得しましたし、勉強になりました。
(報告書に記載されていた参考論文も読みました)

カシスにも結果を報告しました。
そして改めて「ありがとう」を伝えました。
最後の最後まで頑張ったから…(研究者の猫を全うしました…)
天国でゆっくりのんびり過ごせてるといいな。
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ちょっとアレなマロンとポムに翻弄される私を見て、
お母さんダメだなぁ…と心配されてるかもしれませんが…(^_^;)

剖検結果が出て、気持ちがちょっと整理出来ました。
寂しさも悲しさも消える訳ではありませんが、
心のカシスと一緒に、これから頑張ります(^^)

マロン&ポムと共に、今後とも宜しくお願い致します。
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いつもご訪問ありがとうございます♪

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by tenshinoringo | 2017-12-26 21:07 | ペット(猫・熱帯魚) | Trackback | Comments(0)

始まりはファーブル昆虫記とシートン動物記・・・そしてつくば万博と白衣への憧れ。アンポンタンな短卒派遣社員研究員から苦節10ウン年。大学教員を経て、次なるステップに歩み始めたヘッポコ研究員の日常です。


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