カシス

突然のご報告ですが・・・

11月26日の早朝、カシスが永眠しました。
少し長くなりますが、心の整理も含め経緯を綴ります。

11月17日の夜、突然、脚に麻痺を生じ、歩けなくなりました。
この写真は、動けなくなる直前に撮ったものです。
3匹でキャットタワーで大暴れして遊んでいました。
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翌日の朝一で病院に行き、そのまま入院となりました。

その病院内で出来るあらゆる検査をしましたが、特に問題は無く、
体温が異常に低いこと(32〜35度)、
四肢が不全麻痺であること(前肢も後肢も完全麻痺ではなく不全麻痺、触覚・痛覚もあり引っ込める事は出来るけれど踏ん張れない)、
この2点がだけが大きな症状でした。

一方で食欲は旺盛、呼吸困難も無く、血圧や脈も正常、末端の血流にも問題はなく…
いつも通り良くおしゃべりもして、意識もハッキリ・・・
心筋症を疑いましたが、前肢にも麻痺が見られることと、末端の血流に問題が無いこと、
心拍、血圧、レントゲン等の検査等に於いても問題が無く、
食欲等も問題がないので、どうも心筋症では無いとの判断。
先生も「前例が無い」と首をひねる謎の症状でした。
MRIは全身麻酔の為、低体温状態のカシスには命の危険が生じるので行いませんでした。

数日後、外部機関に検査依頼していた血液検査の結果が出て、
SAA(炎症マーカー)が高いことが分かりました。
そこで、治療として3日間、高濃度のステロイドの投与をすることになりました。

この治療に切り替えてから、カシスの様子は明らかに回復していました。
表情が生き生きして、前肢にも力が入るようになり、身体を起こして座ることも出来るようになりました。
猫大好きな担当医の先生は、本当に一生懸命に治療してくださっていて、
カシスの回復を本当に喜んで、大きなジェスチャーを加えながら、カシスの様子を報告してくれました。
病院の看護師さん達にも可愛がられ、カシスも良く懐いていたそうです。
ある程度の回復が認められたので、後は自宅に戻って投薬による治療に切り替える事になりました。
身体の動かないカシスの為に、自宅介護の方法に色々考え、
先生にも色々伺おうと質問事項をまとめたりしていました。
(元気になって、いつも以上にイケメン顔を見せてくれました)
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そして退院予定日の朝、朝イチで病院に行こうと準備していた時に、病院から電話が・・・
カシスが旅立ったという知らせでした。

食欲もあり、治療により回復の兆しが見られた矢先の急変。
急変というより、ろうそくの火が消えるように静かに命の火が消えたようです。
病院に行った当初から32度という生きている動物としては考えられないような
低体温状態だったことから、すでに危篤状態だったのかも知れません。

旅立ったカシスの表情は驚くほど穏やかでした。
フクフクとした身体は生前と変わらずズッシリと重く、
丸顔の愛らしい顔も、柔らかい毛並みも…何も変わりはありませんでした。
何故、呼吸をしないのか、何故、声を発しないのか、何故、目を開けないのか、
不思議で仕方ありませんでした。

結局、カシスが四肢不全麻痺に至った原因、死因は分からないままでした。
原因が分からない中、一生懸命に治療にあたって下さった先生も、
ひどくショックを受け、混乱しているのが良く分かりました。
カシスを渡して下さった看護師さんも、涙目になりながら入院中の様子を話して下さって、
「やっとお家に帰れるよ」って昨日話してたんですよ…と。
本当に、良くして頂いたんだなと…感謝です。

その日は、カシスを連れて帰り、マロンとポムと一緒に一日過ごしました。
そして・・・再び、病院へ預けました。
なぜかと言うと、先生と相談して剖検(いわゆる検死)をして頂く事にしたからです。
カシスが今まで例のない症例だった事や、(文献を調べたり、多くの先生に意見を仰いでくださったそうです)
原因が分からずカシス救えなかったという無念の想いから、
先生から、もし、ご承諾頂けるなら剖検を…と打診されました。
迷う事なく承諾しました
私も研究者の性なのか、原因を突き止めたいと思う気持ちと、猫医療の為に貢献したいという気持ち、
どちらも強くあったからです。
犬と比較して猫のデータは圧倒的に少なく、解明されていない事も多いのだそうです。
(また、猫の症状は分かりづらいのだそうです)
もしもっとデータがあれば、もしかしたらカシスも救えたかも知れません。
剖検と言うと、切り刻まれるイメージがあるようで、一般の方は、ほとんどの方が剖検は拒否するそうです。
その気持ちは理解できます。
しかし、剖検は、闇雲に遺体を傷つける行為では無いという事、
そして、その献体がどれほど価値のある事か、多くの猫達のために、どれほど有益な事か、それは十分過ぎるほど分かっています。
先生は私が研究者だという事をご存知ですので(治療中の説明も普通に専門用語で話されていました)
恐らく、剖検に対する理解度が高いと考えて、打診されたのだと思います。多くの飼主さんが拒否をされる剖検ですので、先生も、かなり気を遣われたと思います…
剖検はコスメティック剖検という手法で都内の病理専門の先生によって行われました。
2日後にカシスは何事も無かったような綺麗な状態で戻って来ました。
病理検査の結果が全て分かるのは1ヶ月後くらいです。
(剖検に関しては後日、また詳細を書きたいと思います。)

剖検から帰ってきたカシスは、ちょっと疲れた表情に見えました。
大役を終えたカシスを労い、家での最期の夜を過ごしました。
マロンもポムも、何かを感じるのか各々、カシスをジッと見つめていました。
マロンはカシスが旅立った直後は、ひどく情緒不安定になっていました。
突然唸って攻撃的になったかと思えば、悲しそうに鳴いて近づいてきたり、
怯えて物陰にずっと隠れていたり…
「死」というものは理解出来て無いとは思いますが、「帰って来ない」ということは
恐らく感じ取っていて、消化しきれない衝動に駆られていたのだと思います。
カシスの子ですから・・・マロンは…本当に寂しく、辛いと思います。
カシスが剖検から戻って来た時は、何か悟ったような表情になり
カシスの側に来て、ずっと佇んでいて…それ以降は不安定さが収まりました。
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ポムは私の膝の上に乗り、ずっとカシスを見ていました。

たとえ動かなくなった身体でも、カシスが家に居ることが自然で…
その日、久しぶりに家の中の空気が、スッと落ち着いた気がしました。
皆んなで過ごした最期の夜です。

火葬の時、笑って送り出すつもりでしたが、
最期の最期にカシスが目を開けたので…(偶然なのでしょうけれど)、涙腺が崩壊しました。
10年7ヶ月という年月を、ずっと一緒に過ごして来ました。
賢くて、優しくて、おしゃべりで、甘えん坊で・・・ちゃんと意思疎通の出来る猫で
本当にカシスは特別な猫でした。
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一人暮しで、やんちゃな弟2匹を抱える私に、介護をさせまいと思ったのか、
私に一番負担をかけないような旅立ち方をしました。
そして自分でちゃんと引き際を決め、しかも最期には大きな学術的貢献もして、人の役に立ち、
立派な研究者のような、そんな猫でした。

カシスに育てられた子猫も沢山いました。
実家で暮らす、グレース、ケリー、シジミ、そして我が家のマロンとポム。
カシスの愛情をたっぷりもらって幼少時代を過ごしました。
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そして、カシスは多くの人にも愛されました。
ブログでもカシスを通じてリアルにお知り合いになった先生もいらっしゃいます。

カシスを可愛がってくださった皆様、
ありがとうございました。

沢山の人と沢山の猫に愛されたカシスでした。
10年と7ヶ月、感謝しかありません。
ありがとう。

鮮やかな紅葉と、青い空…
カシスお坊ちゃまの旅立ちに相応しい。
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小さな骨壷は、雑貨屋さんで購入した猫柄の巾着に収めました。
(ヒモはポムに食べられちゃうので隠しています)
お花を飾りたかったのですが、マロンが食べちゃうので・・・
私が作ったハーバリウムを代わりに置きました。
お線香の代わりは、ベリーの香りのキャンドルで…
お供えは、カシスが大好きだった、ちゅーる。
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姿は無くなってしまったけれど、私の中に、マロンやポムの中にカシスはずっと居ます。
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カシスを撮った最初の写真。
アパートの前に捨てられていた、小さな小さな仔猫でした。
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生前、最後の写真。
治療により回復してきた前脚で、私の手をぎゅっと握ってくれました。
たくさん遊んで、たくさん喋って、たくさん笑って…たくさんのシアワセをありがとう。



いつもご訪問ありがとうございます♪
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Commented by 慈雨 at 2017-12-03 16:56 x
長らく拝読しておりましたが、初コメントがカシス坊ちゃんへのお別れとなってしまいました
聡明なカシス君の賢者のような家長っぷりが素敵で拝見していました
わたしの猫も大きな横広がりの顔をしたトラ猫で、カシス君と似ていたこともあり、ファンでした
うちの猫はカシス君が最初に懸案された肥大型心筋症で突然に亡くなりましたので、カシス君の症状がよそごとと思えませんでした
剖検なさったとのこと
ほかの猫さんたちの治療に役立つよう祈っております
寂しさと痛みをお察しします
Commented by tenshinoringo at 2017-12-03 21:43
> 慈雨さん

暖かいお言葉を頂き、またカシスを見守って下さり有難うございます。
慈雨さんの猫ちゃんも、突然に旅立ってしまったのですか…。心に空いた大きな穴は埋めようが無いですよね。あんなにさっきまで元気だったのに、何故?何か気づいてあげられなかったのか…?等々…頭を巡ります。
猫の突然死は比較的多いそうですが、まだまだ分からない事が多いのだそうです。心筋症の症状も様々なので、検査では見えない事もあるとのこと。剖検の結果が、少しでも役に立てばと思っております。
残された2匹は、やはり寂しいのか、甘えん坊になっています。また2匹一緒に居ることが多くなりました。マロンは少し大人びて来ました。みんなそれぞれに、カシスの旅立ちを受け入れようと頑張っております。完全に立ち直るにはまだ時間はかかりますが、2匹のニャンズとともに、今後とも宜しくお願い致します。
Commented by Qちゃん at 2017-12-05 09:15 x
カシス君はリンゴさんと巡り会えて本当に幸せな一生を送ったと思います。ペットとの出会いも縁ですね。
完全室内飼いだと同居の猫さん達も敏感に感じとるのですね。我が家は多頭飼いで、外出自由で、数日出て行ったきりの猫もいるので猫達は全く気にしません。
カシス君が目を開けたそうで、うちの猫を庭に土葬した時、土を掛けたらニャーと言いました。胸に堪っていた空気が出て行ったのだと思うけれど、さよならの言葉だったように思います。
Commented by tenshinoringo at 2017-12-05 12:33
> Qちゃんさん

私が幸せだったと思っているのと同じように、カシスも幸せだったのなら良いなと思います…。本当に素晴らしい縁でした。苦楽を共にした最高のパートナーでした。
マロンもポムも、カシスから何かを言われたのか…マロンは私の帰りを出迎えるようになり、ポムは出掛けるときに見送りしてくれます…2匹でカシスの仕事を分担しているようです(^^)
最後、家から出る時にマロン&ポムにお別れをした時と、納棺直前の2回…カシスは目を開けました。Qちゃんさんの猫さんがニャーと鳴いたのも、カシスが目を開けたのも…きっと意味があると思います。ありがとう、また逢おうね…と。
Commented by みっちょん at 2017-12-05 14:17 x
久しぶりに来てみたら、、、
さみしいね。さみしいよ。
カシスくん、頑張ったね。
カシスくんがまた、いつかどこかで、tenshinoringoさんと会えますように。
Commented by tenshinoringo at 2017-12-05 17:04
> みっちょんさん

ご無沙汰しております。
そして、暖かいコメントありがとうございます。

キジトラ仲間として、交流させて頂きありがとうございました。最後の最後まで親孝行な優しい子でした。きっと色々我慢したり辛いこともあったのだと思うのですが…そんな素振りを全く見せずに旅立ちました…。また、逢えると良いなと心から思います。

これからは、茶トラのマロンと、ハート柄のポムの茶系の能天気コンビになりますが、また遊びにいらしてくださいね。私も、お邪魔させて頂きます。
Commented by cawa-miu at 2017-12-07 17:09
何度読んでも泣けてしまいます、、、
動物は自分の引き際がわかるのかなと思うことがあります。苦しいところも見せずスッと逝ってしまうなんて、やさしいカシスちゃんだからこその気遣いだったのかもしれませんね。
どうやっても生きていて欲しいと思うのは人間のエゴなのでしょうかねぇ、私は私の寿命を3年縮めてもいいから、もう少し一緒にいさせてほしいと願いました。もっと一緒にいて遊んであげればよかったとか、ずいぶん寂しい思いをさせてしまったとかいろいろ考えました。
遺されたマロンたんとポムちゃんに愛情を注いで楽しい時をお過ごしくださいませ。
Commented by tenshinoringo at 2017-12-07 23:27
> cawa-miuさん

私も動物は、自分の一生をどう締めくくるか、ちゃんと自分で決めているんだなと思います。サーシャ姫も、本当に綺麗な旅立ちでしたね…。私達からすると、もっと一緒に…と思うのですが、よくよく落ち着いて考えると、なんだか驚くほどのタイミングで旅立っていて…偶然と言うには見事過ぎるんですよね。最後の最後まで、カシスからは沢山の愛をもらいました。もらってばっかりだったなぁ…

マロンとポムも、多分寂しいのだと思います。でも、ぎこちないながらも2匹でカシスの仕事を受け継いでいるので、偉いなぁと思っています。カシスがマロンとポムの中にも生きてるんだなと感じています(^^)
Commented by kazuya0913 at 2017-12-13 18:27 x
ご愁傷様です.いつも楽しくHPを拝見させてもらっています.突然のことで,主様もさぞお辛いことと推測いたします.最後の目が開いたあたりはきっと主様の優しさに応えての事かと感じました.ご冥福を心よりお祈り申し上げます.
Commented by tenshinoringo at 2017-12-14 01:03
> kazuya0913さん
お久しぶりでございます。
このような悲しい残念な報告をしなければならなくなり、申し訳ございません。
また、暖かいお言葉をありがとうございます。カシスは、このブログにおいては主役でしたし、私の研究生活においても、かけがえのないパートナーでした。まだまだ気持ちの整理はつかないですが、最後まで私を想ってくれていたカシスの為にも、マロン&ポムと共に明るく前に進んでいきます(^^)
これからも、どうぞ宜しくお願い致します。
by tenshinoringo | 2017-12-03 03:09 | ペット(猫・熱帯魚) | Trackback | Comments(10)

始まりはファーブル昆虫記とシートン動物記・・・そしてつくば万博と白衣への憧れ。アンポンタンな短卒派遣社員研究員から苦節10ウン年。大学教員を経て、次なるステップに歩み始めたヘッポコ研究員の日常です。


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